知ることは罪なのか
気付いたときにはもう遅い。なにも知らなかったなどただの言い訳に過ぎないのだ。むしろそんなのと嘘でしかない。この渇きを癒すのは彼女しかいないと知りながら、彼女のすべてを知りたがった。そんなもの、なくても良かったというのに。
なぜ、彼女と私はこんなにも違うのだろうか。
陽に煌めく金色の髪、淀みのない透き通った水晶のような青い瞳、触れるとたちまち折れてしまいそうな小柄で華奢な矮躯、全てがとても儚く見えるが、力強い目の光りもつ。明るく、笑顔が眩しい、私の光のような存在だ。その一方、私はどうだろうか。陽の反射を知らぬ漆黒の髪、黒く濁った鈍く光る瞳、眉間に皺を寄せ、目はいつも座っている。自身や他人に対して決して甘くないよう心がけて、毎日生きることを苦しむことなど誰が知るものか。
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